。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「よ……よぉ」
あたしはぎこちなく手を上げた。
いくら幻だったからって、何だか今顔を合わせるのは気恥ずかしい。
「朔羅さん……さっきはごめんね」
メガネはグラスをテーブルに置いた。
「おぅ!いいってことよ」
―――――って!!!どうぃうことでぃ!!?
冷蔵庫の蓋を開けていたあたしはびっくりして、メガネを振り返った。
メガネはバツが悪そうに眉を寄せて、
「空室になってたから、てっきり誰もいないものだと思ってたんだ」
「って、てててて―――!!!」
変な言葉が口から飛び出る。
「お前……あれは幻じゃなかったのか?」
「は?幻?」
メガネはキョトンとして、今度は訝しむように眉を吊り上げた。
「さっき風呂場で……」
「大丈夫だよ。背中しか見えなかったし」
バタッ!!!!
あたしはその場で引っくり返った。