。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

「朔羅さん!?」


メガネが慌ててしゃがみこみ、あたしの肩に手を置いた。


支えようとしてくれてるのは、分かる。


だけど、触れては欲しくなかった。


それは肩ではなく、隠し通してきた黒い過去に触れられた感触に酷く似ていたから。





あたしは乱暴に手を振り払った。




「触るな!」


大声で怒鳴った気がするけど、実際には声になったかどうか分からない。


「朔羅さん……」


両手で抱きしめるように肩を抱えた。





「見るんじゃねぇ……」


「え?」


「あたしをそんな風に見るんじゃねぇって言ってんだ!!」


今度こそあたしは今出るだけの大声でメガネを怒鳴りつけた。


「朔羅さん……」



どうすればいいのか分からないと言ったようにメガネが困惑して、わたわたと手を上下させてる。


あたしは無言で立ち上がると、よろめく足取りで台所を出た。









キレイダヨ。朔羅……



オ前ハ一生、俺ノモノ







いつまでも……いつまでも“あの男”の声があたしの後をついてくる。




そんな気がしてならなかった。




もう大丈夫だって分かってるのに…





だって“あの男”はもう死んだんだ。






アタシガ殺シタ













< 158 / 558 >

この作品をシェア

pagetop