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「し、しかしっ!白虎の虎間はうちの縄張りを荒らした奴ですぜ!!そんな奴を信用できるんですかい」
今度はタクが鬼気迫ったように、口を開いた。
「それには事情がある。悪りいのは畑中組のわけぇもんだ。畑中組の頭には舎弟を厳しく躾けるよう俺から一言言っておいた」
「事情って何ですかい!?ちゃんと説明してくれないと、あっしらも納得いかねぇです」
そう言ったのはマサより一回りも年上のノブオだった。
地位的には龍崎組の中堅どころと言ったところだが、喧嘩の腕っぷしはかなりいい。
ノブオに感化されたのか、
「そうですぜ」
「ちゃんと説明を」
という声が方々で上がった。
不安と、疑問。
この二つの感情で、白虎会との盃の前に青龍会が内部から崩れてしまいそうだ。
あたしはちょっと不安になって叔父貴を見上げる。
叔父貴はまるで体の中にあるすべての空気を吐き出すように、長々とため息を吐いた。
「白虎会の虎間は、この話が出ると息子を一人こっちに寄越した。向こうも必死なんだろう。今や勢力を増した玄武会に押され気味だからな。
盃の話を確実なものにするためだ。
その折に、クラブZで乱闘騒ぎが起こった。畑中組の連中がクラブのホステスを無理やり自分のスケ(女)にしようと、迫っていたんだ。
そいつはクラブZの用心棒も兼ねていたから、店側と口論になった。サツが流れ込んでくる始末だ。店側にも怪我人が出て……
そこで、たまたま居合わせた虎間の息子がその女を助けた。
ただ、畑中組も血の気の多い連中だ。仲間を呼び、まだ何者か知らされていなかった虎間に喧嘩をふっかけた。
それだけのことだ」