。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
叔父貴から手渡された紙袋を開けてみる。
「何だろ」
意識してたことを勘ぐられたくなくて、あたしは妙にハイテンションでわくわくしながらごそごそと中を探った。
町のショッピングモールのロゴが入った紙袋だった。
紙袋の中から白いフワフワしたものが出てくる。
「あざらしの赤ちゃん…」
あたしはぬいぐるみを取り出すとまじまじと見た。
白い丸っこい胴体に、丸い目があってその上にちょこんと眉が乗ってる。
「可愛い!☆」
あたしは思わずそのぬいぐるみを抱きしめた。
叔父貴が!叔父貴があたしのために、こんな可愛いぬいぐるみを!!
「それ、戒が選んだんだ。お前にそっくりだって」
叔父貴は畳にあぐらをかきながらのんびりと言った。
ガクリ…
選んだの、メガネかよ。
「本当は俺が選びたかったんだが、お前が好みそうなものが分からなくて…と言うか今日日の女子高生がどんなものだったら喜ぶのか分からなくてな…」
叔父貴は恥ずかしそうに顔を赤らめると、顔を背ける。
きっと……
メガネと二人で一生懸命選んでくれたんだよな。
こんなぬいぐるみが売ってるファンシーショップに出向くのに、叔父貴がどれだけ恥ずかしかったか…
あたしはちょっと想像してみた。
あたしのために一生懸命ぬいぐるみを選ぶ叔父貴とメガネ。
想像して顔を綻ばせた。
それだけで十分だよ。
それだけで…
あたしはぬいぐるみを強く抱きしめた。