。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「へぇ…山田さんってちょっと大人しめの子だったよね?意外って言うか…」
あたしは口をもごもごさせた。
何て反応していいやら。
そりゃあたしだって興味がないわけじゃない。そう言う話はやっぱ気になることで…
「だよねぇ。でも更に驚きなのは、その先輩と付き合ってないんだって。何か雰囲気に流されちゃったらしくてぇ」
「へ、へぇ……。ってかリコ何でそんなこと知ってるの?」
リコはあたしの問いに「エッヘン」と軽く咳払いをして、
「リコ様独自のルートがあるのでございます」と得意げに言ってみせた。
「でも、付き合ってなくてもできるんだね…」
あたしは目を伏せた。
別に山田さんを軽率だとも思わないし、軽蔑もしていない。だけど、何で好きでもない人とできるんだろ……
そう言うのって愛し合ってするもんじゃないの?
愛し合って……
『朔羅……愛してる……』
“あの男”の言葉が蘇る。
一生消えない傷が、また傷つけられたときのように鮮明に蘇る。
あたしは震える肩をそっと抱いた。
唇を噛んで、リコに勘付かれないように。