。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
結局マサの車であたしを含めた五人は帰ることになった。
運転するのはもちろんマサで、助手席にタク。
後部座席にメガネ、あたし、キョウスケの順で並んで座る。
いつものメンバーに囲まれて、あたしはちょっと安心した。
今日は……朝から色んなことがあり過ぎた。
中でも虎間と拳(向こうは脚だったけど)を交わしたのが相当キテる。
あたしは腕をそっとさすった。
僅かだがまだ痺れが残っている。
あいつ……何であたしを助けたんだ?
あたしが何者か知ってて、何で助けたんだ?
クラブZのときもそうだ。
虎間は、あたしが噂で聞いていた人物像と大幅に異なる。
でも、あの男たちと戦うときの不気味なほどの笑顔……あいつは闘うことを楽しんでた……
ぞくり……
と嫌な感じがまたじわじわと背中を伝ってきた。
でも……
「また近いうち会おうや」
あいつの耳をくすぐるような甘くて低い声……
薄くてちょっと色っぽい唇がそう動いたのを想像する。
唇……
あたしは自分の唇をそっとなぞった。
あいつと……キスをした。
でも不思議だ。
あいつの唇に嫌悪感を感じなかった。
危険を感じなかった。
あたし……全然嫌じゃなかった―――――?