。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
あたし!!どうしちゃったんだろう!!
叔父貴以外の人とキスされたってのに、「嫌じゃなかった」って!!!
わ゛~~~!!!
顔を赤くしながら、あたしはスカートの裾を握った。
グシャリ
小さな紙がよじれる音がしてあたしは不思議に思った。
ポケットに何か入れたかな?
そう思ってスカートのポケットを探ると、一枚の封筒が出てきた。
“TOKYO CANCER CENTER”と書かれた白い封筒だ。
あたしはすぐ右隣のメガネのシャツの袖を軽く引っ張った。
「なぁメガネ。これなんてぇの?」
窓の外に目を向けていたメガネは、ふいにこちらを見た。
う゛……メガネのない姿を見慣れてないから……ちょっと緊張……
ってか、こいつやっぱ整った顔してんなぁ。
だけどメガネはあたしのそんな緊張をよそに、あたしの見せた白い封書を見ると、一瞬だけその琥珀色の目を開いて、眉を険しく動かした。
ほんの一瞬だったけど。
こいつのこんな表情、前にも一回あった。
確かあれはメガネ2号にあたしがちょっかい掛けられてたときだった。
でもすぐにメガネはいつもの柔らかい表情を取り戻すと、笑いはしなかったものの、穏やかに聞いてきた。
「これをどこで……?」
「叔父貴の車から落ちてきたんだよ」
話すつもりはなかったけど、メガネの一瞬緊迫した表情に気圧され、あたしは今朝リコの家に送ってもらったことを説明した。
左隣からひょいとキョウスケが顔を出す。
「キャンサーセンター……が―――」
と言いかけて、
「おい」
とキョウスケを咎める声を出し、メガネの顔がまた一段と引きつった。