。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
びっくりした。
だって、いつも穏やかでのほほんとしてるメガネだけど、キョウスケを咎めるあの迫力のある声。
あたしは目を開いてぱちぱちさせた。
キョウスケははっと口を噤むと、取り繕ったように
「……いえ、何でもありません」と言い添えた。
この只ならない雰囲気が気に食わない。
ってかメガネ!お前はキョウスケより年下だろ?先輩(?)に向かってその口の利き方は何だよ!
と、それはとりあえずそのことは置いておいて、
「何だよ!この何とかセンターって、どういうとこなんだよ!!叔父貴となんか関係でもあるのか!?」
あたしは思わず怒鳴った。
運転席で世間話をしていたマサとタクが何事か顔を合わせてる。
メガネはちょっと苛々したように眉を寄せると、乱暴に頭を掻いた。
「あーーーっもう!それはイカガワシイお店の名前だよ。つまり……夜の……店?」
メガネは言い辛そうに目を泳がせる。
イカガワシイお店……??夜のお店??
ってつまり―――
考えてあたしははっとなった。
顔を真っ赤にしてわたわたと封書を握りしめる。
「そういうことだったから言いたくなかったの。貸して。それ、琢磨さんに僕から返しておくから」
そう言って横からメガネがひょいと封書を取ろうとする。
「ちょっと待て!お前、これを渡す口実で叔父貴に会うつもりだろっ!!このスケベっ!!!」
「スケベぇ!?」
メガネが素っ頓狂な声を上げて表情を歪めた。
あたしはぎゅっと封書を握ると、
「そうはイカのスルメ焼きだ!これはあたしが叔父貴に渡す!!」
とメガネを睨んだ。
「それを言うなら“そうは問屋が卸さない”でしょ!!貸してっ!」
メガネはあたしの手の中にある封書を引っ張った。
「問屋ぁ!?何言ってんだ!」あたしは封書を取られない様にぐいと腕を引いた。
※“そうは問屋が卸さない”の意味が気になる読者の皆様に→そんな安値では問屋が卸売りしない。そんなにぐあいよくいくものではないというたとえです☆
バカな朔羅ですね~