。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
その晩は結構大変だった。
家に帰り着くと、野郎共がみんな血相を変えて「お嬢!出入りで!?」なんて騒ぎ立てていたし、マサから事情を聞いた叔父貴から電話がかかってきて、あれこれ心配されるは、あまり目立ったことはするな、とちょっと怒られたり…
でも結局虎間のことは言えなかった。
気になるといやぁ叔父貴がイカガワシイ店に出入りしてるのか!ってことだったけど、もちろんそんなことあたしの口から聞けやしない。
不満と不安、疑問を抱えて休みはあっという間に過ぎ、月曜日になった。
「朔羅♪おは☆」
そう言ってにこにこ顔であたしを教室で出迎えてくれたリコ。
隣に千里の姿もある。
いつもどおり元気な姿のリコを見てあたしはほっとした。
一昨日とは言え、あんなに怖い思いをしたからしばらくショックで学校に来れないかと思ってたけど。
「リコ、千里おは~☆」
あたしも挨拶を返した。
「おっす!」
元気なリコとは対照的に、こっちはちょっと暗めの千里。
「どうしたの?元気ないじゃん」
「親父から聞いた。土曜日のこと。お前ら大丈夫だったんかよ」
何だ……元気がないのは、心配してくれてたんだな。
千里、いい奴☆
「大丈夫だよ!正義のヒーローが助けてくれたんだもん」
とリコが胸の前で手を重ね、まるでお祈りしているかのようなポーズを作った。
「正義のヒーロォ?」
千里がちょっと大げさに顔をしかめた。
あたしもお前に同感だぜ、千里。
あいつぁ……虎間と言ってな!!悪名高い関西の極道一家の一味なんだよっ。
リコなんて可愛いから、アイツに捕まったら一口でパクリと喰われるに違いねぇ。
喰われる……
そう思って急に虎間とのキスを思い出しちまった!!
カァっと顔が赤くなる。
「ヒーローだよ♪あたしたちがピンチのときに助けてくれたんだ。
顔は見てなかったけど……
たぶん…てか、絶対かっこいいと思う。トラマさん♪♪」