。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
コート!?
まぁメガネが謎なのは前々からだったけど……
何てたって蠍座だしぃ。
あたしはそんな挙動不審なメガネよりも、あの夜拳を交えた虎間のことが断然気になるわけで……
と言ってもこっちから会う事なんてできやしない。
あいつがどこに潜伏してるのかさえも分からない。
そういや高校生ぐらいだった…せいぜいいってても大学生ぐらいだ、ガッコとかどうしてるんだろ?
やっぱ地元の関西かなぁ。
大阪行ったら会えるんかなぁ。
っつーても、大阪なんて広いし。もちろん虎間一家の家がある場所なんて知らない。
叔父貴は知ってるだろうケド、そんな危険なこと教えてくれるはずもないだろうし…
そんなことを思って一週間ぐらいが過ぎていった。
梅雨の時期に入り、庭には水色や紫といった紫陽花が咲き乱れ、しとしとと降り注ぐ雨の中、葉っぱの上をかたつむりが懸命に行ったり来たりしている。
あたしは、と言うと……
広い廊下を行ったり来たり。
「メガネ~!おいっ。どこだよ!?夕飯の時間だっ!!」
大声で呼びかけても返事がない。
こんなことは珍しくない。メガネはひょっこり家からいなくなることがある。
組のもんは大概どこにいるか気配で分かるけど、メガネはまるで存在自体消えてしまったかのように……今までのメガネがまるで幻だったかのように……
きれいに消えうせることがあるんだ。
「ったく、どこ行ったんだよ!」
あたしはメガネの部屋の前で、む~んと仁王立ちになって顔をしかめた。