。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「これ…!!」
コートを引っつかむようにして、目に近づける。
バーバリー柄の……裏地―――
それはあの夜―――
虎間が着ていたトレンチコートだった。
見間違い……?
偶然!?
あたしはトレンチコートを凝視して、何か他に手がかりがあるか探った。
襟の部分にバーバリーのタグがついていて、その下に
KAI.Tと黒い文字で刺繍がしてある。
「戒.T―――戒 虎間……………?
どういう……こと……?」
あたしはコートを凝視すると、今にも暴れだしそうな心音を宥めるように胸に手を当てた。
どうしてこれをメガネが持ってるんだ!?
「ここで……何やってるの?」
その恐ろしいまでに冷静なメガネの声がすぐ後ろで聞こえ、あたしはびっくりしてトレンチコートをバサリと畳の上に落としてしまった。