。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
くっそー!!こうなったら!!
「おい、千里!」
2限目の体育の授業の前、あたしは着替えに向かう千里を引き止めた。
ちなみに体育の授業のときは男女それぞれロッカールームがあって、そこで着替えるようになっている。
千里はあたしの話を聞いて、
「はぁ!?龍崎の背中か足を見て来いだぁ!?」と素っ頓狂な声をあげた。
「しっ!!声がでけぇ!わけは話せねぇが、あいつの背中に何か変わったもんがないか、それから足にこれぐらいのアザがないか調べてくれ」
あたしは手で10㎝ぐらいの幅を作った。
「変わったもんって何……」
千里が訝しんであたしを見る。
変わった……紋―――まさか彫り紋があるかどうか見て来いなんて言えやしねぇな。
いくら千里でも…
あたしが黙って口を噤むと、
「あ~、分かったよ。見てこりゃいいんだろ?見てこりゃ」
千里はそれ以上何も聞かずにちょっとため息を吐いて腕を組んだ。
「まぁ言いたくないこともあるだろうけど、何かあったら何でも言えよ?」
そう言ってあたしの頭を軽く撫でる。
う……千里。いい奴……
「サンキュ。今度何か奢るから」
千里はちょっと苦笑いを漏らすと、「いいよ、そんなもん」と言って走り出した。
あたしが引きとめたもんだから、その分休み時間が少なくなってる。
「あ、そだ!」
走り出した千里は思い出したかのように振り返った。
「俺駅前のファミレスのパフェのタダ券持ってンだ。今度一緒に行こ~ぜ。それで手を打ってやるよ」
パフェのタダ券……
「やった☆」
あたしは飛び跳ねて喜んだ。