。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
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龍崎組に帰り、俺は響輔の部屋に一直線。
な、筈だったがこいつの方が一足早く俺の部屋の前で待っていた。
「何だよ。入って待っててくれれば良かったのに」
ちょっと笑うと、響輔も同じように苦笑いを返してきた。
「今日、会長のところに行ったのでしょう?例のキャンサーセンターの封筒無事に渡りましたか?」
「おう。無事無事~」
軽く言って、響輔の肩に手を置く。
そして顔を寄せると、こいつの耳元に口を近づけて俺は囁いた。
「それより、鷹雄が啼いた(倒産した)。手形が飛んだんだ。パクリ屋にやられたらしい」
響輔は俺の言葉に短く頷くと、
「さっき聞きました」とこれまた短く返事を返してきた。
でも発音が微妙に標準語じゃない。
こいつは、こいつなりにやっぱり動揺を隠せない様子だ。
「安心しな。仇は俺が取ってやんよ。百倍返しでな」
クスっと響輔が小さく笑って、
「ええ、期待してます。でも鷹雄は不動産だけじゃないんで、大丈夫ですよ」
「手広くやってるもんなぁ」
「手を出しすぎてへたうたなきゃいいんですけど」
「まぁ大丈夫やろ?」
能天気に言って、響輔の肩をバンバン叩く。
そのときに気付いた。
風に乗って―――あの香り………
チェリーブロッサムがほのかに香ってきたのを―――