。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
俺の足元には朔羅が忘れていったアザラシのぬいぐるみが落ちていた。
朔羅はこのアザラシを大事にしてるみたいだ。
龍崎 琢磨から貰ったものだからだろうか。
俺が選んだのに…あいつは“マクラ”なんてけったいな名前つけやがって大事にしてる。
俺はマクラを拾い上げると、響輔を見た。
「悪りぃな」
と謝ったが、響輔は顔を青くして口元をごしごし拭っている。
「だから謝っただろうが!!」
俺は怒鳴ったけど、こいつの顔を見て、またこいつも俺の顔を見て
二人して
「「おえ゛~~~」」
と苦い顔をして叫んだ。
誤解しないでほしい。
俺と響輔は正真正銘のストレートだ。
消毒代わりにマクラに顔を近づけると、チェリーブロッサムの香りが香ってきた。
甘くて爽やかで……
朔羅そのものだ。
俺はこの香りがすると
自然に目が朔羅を探してしまう。
見つけると幸せな気持ちになる。
それであいつが笑うと、
俺はもっと幸せ。
青龍とか黄龍とか、組とか、跡取りとか色んな話が渦巻いてるけど……
そんなん抜きで―――俺はあいつが
好きだ。
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