。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

鈍い音がして、キモ金髪野郎のパンチがメガネの頬を打った。


メガネがよろけてその場に足を着く。


「―――!!」

「キャァ!!」


リコの叫び声が倉庫の中に反響した。


「り、龍崎!!」


千里も驚いて声を上げる。


倉庫は、リコの悲鳴を吸ってもただ音を響かせるだけで、その音を外には伝えてくれなさそうだ。


あたしは視線を険しくしてメガネを振り返る。


殴れらたふいに掛けていたメガネが外れたらしい。地面に転がっていた。


メガネは打たれた頬を押さえて、片目でキモ金髪野郎を睨んでいる。


でも……迫力のない睨みだ。


これじゃこいつらを余計煽ることになる。


「おい、進藤。こいつらか?生意気なコーハイってのは??」


「そ、こいつら二人まとめてやっちまえよ」


「センパイに対する態度ってを教えてやンよ♪」


案の定、仲間の一人が笑いながら手の関節をボキボキッと鳴らした。



「さ…朔羅ぁ…」


リコが泣きそうな声であたしの袖をぎゅっと握ってくる。


あたしはそんなリコの震える手を握った。



ドキンドキン…とあたしの鼓動が跳ね上がる。





メガネ……


お前虎間だろ?


そんな奴ら簡単にヤッちまえよ。


お前だったら秒殺だ。





―――でもメガネはあたしのそんな予想を裏切った。













< 276 / 558 >

この作品をシェア

pagetop