。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「リコ……千里……」
千里は殴られた跡が顔に残っていたけど、それほどの打撃じゃなかったのか、今はしっかりと両足で立っている。
そのことにちょっとほっとした。
「…………ごめん。あたしのせいで大変な目に合わせちゃって」
「そんなこといいよ。だって不可抗力じゃん。それより…極道って…龍崎組って……どういう意味?」
少し怒ったようにリコが眉を吊り上げていた。
「リコ……朔羅はなぁ」
事情を知ってる千里がリコを宥めるように、あたふたと手を動かせた。
「千里も知ってたの?それに龍崎くんも!!知らなかったのはあたしだけ?」
戒はあたしにちょっと目配せすると、軽く肩をすくめた。
「……あ、あたしだって…言いたかったよ。だけど……」
言えなかった。
うちが極道なんて言ったらきっとリコは離れていってしまうと思ったから。
だってあたしら入学したときから親友だったじゃん。
ずっとずっと一緒だったじゃん。
楽しいことも悲しいことも共有し合ってきた仲じゃん。
今更離れていっちゃったら……あたし…どうすればいいの……?
「話し合いが必要のようだな」
戒がのんびり言うと、制服の埃を払い、あたしに背を向けた。
そしてスタスタと行ってしまう。
「ちょっ!話し合いって!!」
この状況をあたし一人で何とかしろって!?
お前は鬼か!!
「待てよ!!」
あたしは戒の首根っこを掴んで、ぐいと引き寄せた。
掴んだところが悪かったからかな。
戒のシャツだけがぐいと下ろされ、するりと肩から抜け落ちる。
戒の無駄な肉がついていない肩や背中が見えてあたしは息を呑んだ。
ホワイトタイガー―――
白虎の紋。