。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「てか、関西弁じゃないんだな」
「あ~、普段は標準語?使ってる。まぁ機嫌が悪いと関西弁になるんだけどな」
ふーん…なるほど。
んじゃ、あたしを助けてくれたとき、こいつは機嫌が悪かったってことか。
何で?
ってかそんなことどうでもいい!
「お前を養子に迎えたってことは当然叔父貴もお前の正体を知ってるってことだよな?」
あたしは気になってることをズバリ聞いた。
戒はあたしの質問に返事を返さず、鋭い視線だけを寄越してくる。
う゛
いけねぇ!!ここでひるんじゃ!
「沈黙は肯定って意味でいいんだな。で?何で敵である虎間が龍崎家でのうのうと生活してんだ!?しかも二匹も!
ってか、リコの家から帰る夜道で助けてくれたもう一人はキョウスケなのか?」
あのときあたしは、闇の中でうごめく迅速で、かつ冷静な動きの何者かに恐怖すら感じていた。
あのあと警察で迎えを待っていると、メガネとキョウスケが揃って姿を現した。
そう考えると全ての辻褄が合う。
「あぁ、そうだよ。あれはキョウスケだ」
あたしの問いに戒はあっさり自供。
虎間は……
理由がない喧嘩はしないと叔父貴が以前に言っていた。
あのとき戒はあたしを助けるため、危険を顧みず姿を現したってわけだ。
あのとき助けが入っていなかったら、今頃どうなっていたか……
でも何であたしを助けたの?
あたしを助けるのに、こいつなりに理由があったの―――??
こいつはやっぱりあたしの想像した人物像とは違う。
戒は足を下ろすと改めて両足をソファに乗せ、あぐらを掻いた。
タバコの箱に手を伸ばして一本口に含んだけど、今度は止めなかった。
っていうか、いちいち止めるのがめんどくさくなっただけ。
「盃の件は琢磨さんから聞いてるよな?」
本題に入ったのか、戒が一段と声を低めた。