。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

不思議だな。


メガネも虎間も同じ人間なのに、全然違う態度で……でもやっぱり根っこは同じで、あたしの頬を撫でる手のひらも、


「朔羅……」


と宥める声の優しさも―――



全然変わらない。





いつの間にか目の前に来ていた戒が、あたしをしっかりと抱き寄せる。


力強いけど、その腕は優しくて―――あったかい……


いつだったか、メガネの布団に引き込まれたときのことを思い出す。


こいつは何だかとても温かくて、



安心するんだ。





戒の手があたしの頭の後ろに回った。


手のひらが優しく髪を撫でる。


抱きしめられた肩越しの、あまりきれいとは言いがたい部屋の景色が滲んでいた。


滲んだ世界がゆっくりと流れる―――




ゆっくりと……




ファサッ



体がソファに沈んだ。






ってちょっと待て――――!!





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