。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
教室に入る頃には、メガネは腕を放してくれたけど、それまで無言で廊下を歩いていた。
その横顔がちょっとピリピリしているように見えたのは、あたしの気のせいだろうか。
何ていうの?怒ってる風にも見えるし、悲しんでいるようにも見える。
こういうのどっかで見た。
あ。
そうだ。
うちの廊下に飾ってある般若の能面!
あれにそっくりだ。
何だよ、この般若野郎……
「おはよ~」
あたしは自分の机に鞄を置いて隣の席にいる千里に声をかけた。
「おはよ♪朔羅」
千里は朝から元気そう。
くっそぅ、肌つやとかが羨ましいぜ。
なんて考えてると、
「龍崎さん?1年のときB組だったよね?俺、D組だったの。和田アツシって言うんだ。ヨロシクね」
と後ろの席のヤツが声をかけてきた。
ちなみに始業式の席順とは替わってる。あのときの席順は適当だったから千里が近くに居たけど。
千里の方が良かった。
和田と名乗ったのは、黒縁メガネの爽やか男子だ。
命名:今日からお前はメガネ2号だ!