。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

―――

「ただいま戻りました~」


戒はメガネの声に戻ってガラッと引き戸を開けた。


「おい、メガネ!!遅くなるなら電話しやがれって言われてんだろ!」


と出迎えてくれたマサが眉間に皺を寄せ怒鳴った。


食事を作ってる最中だったのか、強面のいかつい体にピンクのエプロンなんてつけちゃって、手にはおたまだから、全然迫力ないけど。


「すみません。朔羅さんと喋りこんでたらこんな時間になっちゃって」


としょんぼりうな垂れる戒。


素直で可愛いその反応にマサもぐっと詰まってそれ以上は強く言えないでいる。





ってか!!何だよ、その変わり身の早さはっ!


こいつマジで二重人格!!



思えばそんなこいつにあたしもすっかり騙されてたわけだよなぁ。


そして今もマサがをはじめとする組のもんが騙されてる。


「マサ、悪りぃ。あたしがこいつを引き止めたんだ」


「お嬢。そうとは知らずすいやせんでした」


「いいって。それよりあたし今日ごはんいらない。風呂入って寝るからよろしくな」


あたしは力なく笑うと、マサの肩をぽんと軽く叩いて廊下を進んだ。











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