。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


そう思うと悲しくて悲しくて―――悲しくて


涙が出てくる。


「嘘ばっか……その気がないなら優しくするなっつーの」


流れてくる涙を抑えながらあたしは寂しく笑った。


やっぱり


叔父貴の好きな人は昔から母さんで、あたしはその娘にしかない。


あたしはアザラシマクラをぎゅっと握った。


そして叔父貴とツーショット写メの待ちうけを変えた。


「何がつがいの龍だよ…気持ちがなけりゃ一緒になんて居られない!」





叔父貴が好きな人は母さんで


叔父貴が求めてるのは“雪斗”の強さだ。


そして叔父貴の頭にあるのは“青龍”のことだけ。


宿敵である白虎会に裏切られないため、あたしを利用した。





あたしはあくまで利用するだけの付属品にしかない。


「バカ野郎!!!」


そう泣きながら叫んで、あたしはマクラを壁に投げつけた。


柔らかいマクラは壁にぶつかって、跳ね返ってあたしの足元に転がった。


マクラの丸い眉毛がほんのちょっと悲しそうに下がって見えた。


マクラ…


「ごめん…あんたに当たってもしょうがないのにね……」


あたしはマクラを抱き上げると、涙の流れる顔を押し付けた。





わぁああああん





そして大声をあげて泣いたんだ。






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