。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
こいつは……
あたしを騙してた。
でもいつでもあたしに優しかった。
あたしを傷つけることはしなかったし、言わなかった。
いつだってあたしを守ってくれた―――
この温かい手で。
不覚にもあたしの涙腺がまたも緩んで、涙が溢れてきた。
戒は何も言わず、何も聞かずにあたしの頭に手を回すと、自分の肩に抱き寄せた。
あたしは
戒の肩が温かくて、優しくて、こいつの前で声をあげて泣いた―――
戒の手のひらの温度が心地よくて、あたしは何故か放したくなかった。
手をつないだまま、学校とは反対方向の電車に乗り
隣り合って椅子に座り
早く電車が発車してくれないか、と小さく祈った。