。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
予約席!?
戒は珍しく苦そうに顔を歪めると、ちょっと顔を逸らした。
「……何だよ。もしかして苛めか?ガッコで何かあったのか??」
「何でお前は俺をそういう可哀想な境遇に追いやるわけ?」
戒は今度はちょっと怒ったように顔をしかめている。
「違うのかよ」
だってこいつ、いかにも弱そうだし(見た目は)。ヤクザってだけで嫌われるからなぁ。
あたしだって経験のあることだ。
っても、あたしが大人しく苛められてるタマじゃないけどな。
「まぁあれだ。ある人物から逃げたかったんだよ、俺ぁ」
戒がぐいと身を乗り出すと、眉間に皺を寄せ深刻そうな顔つきであたしを見た。
あまりにも真剣な顔で、あたしは思わず身を引いた。
「だ、誰だよ。そいつぁ」
あたしの質問に戒はちょっと口を噤んだ。
「何だよ!そこまで話しておいてだんまりかよっ」
「黙ってるわけじゃないけど……」珍しく歯切れが悪い返事を返して、戒はもとの場所に戻った。
「今更隠しごとはなしだぜ?男だろ!はっきり言え!!」
あたしは見たまんま気が短いんだ。早く言えっ!
コホン、と戒が空咳をしてあたしをちょっと上目遣いで見てくる。
「逃げたかったのは俺のおかんと、おかんが決めた婚約者からだ」