。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「俺のおかんな、そりゃこっわい人なんやで?龍崎 琢磨なんて非にならんぐらい」
どんなおかんだよ!
叔父貴以上に怖いなんて……あたしは女コマンドみたいな、筋肉もりもり女を想像した。
まぁ虎間兄弟を育て上げたんだから並の女じゃないとは想像できるけど。
ってか戒と結婚したら、そのおかんがあたしのおかあさんってわけ??
やだ!
やだやだやだやだ!!
お母さんは絶対優しい人がいいに決まってる!
あたしは恨みがましく戒を睨んだけど、こいつは何を勘違いしたのか、
「まぁちょっとそういうわけで、婚約破棄をする為に海外に逃げてたってワケ」
と勝手に締めくくった。
「……何で、婚約破棄なんてしたんだ?……か、可愛くなかった…とか?性格悪いとか?」
あたしはちょっと気になって恐る恐る聞いた。
「顔はまぁふつー。ふつーに可愛い。性格もまぁ大人しい女だったな」
「充分じゃねぇかよ!」
何でそんな女を振ってあたしんところに!?
さっぱり分からん!!
だってあたし顔が可愛いとは言えないし、性格だってがさつで男っぽくて、短気で、不器用で……って、数え上げたら切りがねぇや。
こいつはかなりのイケメンだし、女なんて選り取りみどりだろ。
なんであたしなんか……
あれこれ考えているあたしの前で、ふいに戒の表情がふっと和らいだ。
メガネのときの
柔らかい笑顔。
こいつのこの不意打ちの笑顔に、あたしはドキリとさせられる。