。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

チクン…


心臓に小さな痛みを感じた。





誰もあたしのことを知らない。


ううん、知られちゃならない。


あたしの正体を―――






昼休み前の休み時間、あたしの机にリコと千里が集まって談笑していた。


「ねぇ、朔羅はお弁当?今日学食いかない?あたしAランチ食べたい♪」


「お☆いいね~。俺もAランチ」と千里。


「あんたは誘ってないっての」リコが突っ込みを入れた。


「あたしはお弁当……」と言いかけて、お弁当箱が入れられてる紙袋を手で探った。


あ。そうだった……


「ごめん。ちょっと……」


あたしは紙袋を手に取ると、席を立った。





キョロキョロと教室を眺めるとメガネの姿はなかった。


そういやあいつ、あたしの前の席だけど休み時間になるといっつも消えるよな。


あいつ…どこ行ったんだ?


教室を出て廊下を歩いてるとメガネが男子トイレから出てきた。


緊張感のない顔つきで、のんびりとハンカチで手を拭いてる。




あたしは廊下の柱に隠れると、メガネが通り過ぎるときに、


「おい!メガネ」


と声を掛けた。








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