。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「で!でも!!どうしてあたしの紋がここにあるって分かったわけ??足かもしんないだろ?」
でもこいつは真っ先にあたしのブラウスを剥いだ。
「ああ、それね。最近気づいたんだけど、お前何かあると胸押さえる癖あるだろ?最初不整脈なのかな?って思ってた。ドキドキしてるのかな、可愛い奴め♪なんて思ってたけど」
か、可愛い言うな!!恥ずかしいっ!!
「でも途中でなぁんか違うな、何か裏があるなって思って♪」
したり顔で戒がさらりと言う。
くっそーーー全っ部見抜かれてってわけか!!
「だから薬盛ったってワケだ」
あたしは皮肉げに口の端を釣り上げると、戒を睨み上げた。
「そゆこと♪だってお前、こうでもしないと大人しくならないだろ??」
ま…まぁ黄龍であることあたしも隠してたわけだし……
それに普通思わんだろう。
日本の極道会を統べる黄龍が女子高生だなんて―――
まぁ「お前黄龍だろう、紋見せろって」って言われても、「はい、分かりました」って素直に見せるわけにゃ行かないけど。
それにしても……
何て強引で卑劣なやり口。
ってか、それに引っかかるあたしもあたしだが…
「も……もう気が済んだだろ?」
あたしはブラウスの前を合わせると、不機嫌そうに顔を歪め上体を起こそうとした。
こいつの目的が黄龍があたしである、ということを確かめることだけだったことにちょっと安堵し、それと同時に一番気づかれちゃならないことを知られた後ろめたさがあった。
「あんた…黄龍は天と地に別れたって言ったけど、黄龍が二人居る分けにはもっと現実的な意味合いがあるんだぜ?」
あたしは戒を睨むと、ちょっと口の端を釣り上げた。
こいつは……
伝説の龍だとかロマンチックなことをずっと真に受けてきた。
伝説なんて
存在しない。
戒の夢見てきた部分を
あたしは無情にも
ぶっ壊したくなった。
見る影もなく粉々に―――