。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。




だってこいつには分からない。



きれいな部分しか見てこなかったこいつには一生あたしの気持ちを理解することなんてできないだろう。





だから思い知らせてやる。


「……それは俺も知らない。どうして二人なんだ?」


あたしはちょと勝ち誇ったようにせせら笑った。






「単なる後継者だよ」



「こうけいしゃ」


戒が口の中であたしの言葉を復唱する。


一つ一つの文字をことさらゆっくりと理解しようというのだろうか。


「黄龍が何かの事故や殺しに合っても、一人が生き残ってりゃそっちが自動的にトップになる。そういう仕組みだ」


「なるほど。確かにその考えは理にかなってるな。それだったら、次のトップを決める為の内部抗争に発展することもないだろうしな。


伝説の裏でそんな現実的な意味合いがあったなんてね」



戒は自嘲じみてちょっと笑った。


自分が信じてきたものが、あっさり崩されるのって結構クるだろ?


“つがい”なんて言うと夫婦みてぇな意味があるけれど




実際には組織を守るための体のいい、口実にしかない。








< 358 / 558 >

この作品をシェア

pagetop