。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
あの笑顔は―――
このあと一生続くであろう、あたしの罪をあざ笑っていたのだろうか。
それともこれで一生自分の存在があたしの中で生き続けることになることに喜んだから?
どちらにしろ最期まで性根の腐った野郎だ。
遺体は
叔父貴が始末すると行ってどこかへ出かけていった。
あたしは叔父貴が帰ってるのを明るくした部屋でひたすら待った。
暗くすると、たった今殺した雪斗の亡霊が出てきそうで怖かったんだ。
夜が明ける前に叔父貴は帰ってきた。
その日あたしは桜の木の下に秘密を埋めた。
埋めなきゃ……秘密を―――埋めなきゃ
雪斗を殺したあのおぞましい凶器を―――
あたしは必死に土を掻き分けた。
叔父貴は包丁も一緒に処分すると言ったが、あたしはそれを断った。
手元に置いておくのは危険だったが、あたしは何故かこの包丁が目の届かない場所にいくのが怖かったのだ。
必死に土を掻き分けながら、ふと見上げると、空にはピンク色に染まっていた。
桜だ。
まるで瑠璃色のビロードを敷いた夜空に桜の花びらが涙のように舞っていた。
冷たい何かを頬に感じて、そのときあたしは初めて自分が泣いていることに気づいた。
どうして涙が出るのだろう…
どうしてあたしはこんなにも悲しいのだろう。
やっと
やっと雪斗をこの世から消すことができたのに―――
でも気づいた。
雪斗は現実から消えたけど
あたしの中では一生生き続けるのだ。
『朔羅―――』
涙の伝った頬を優しく包み込んでくれたのは叔父貴だった。
『忘れるな。俺たちはつがいの龍。
俺たちは二人で一つだってことを。
俺がお前を守る。かならず守るから―――』
だからこんなこと忘れてしまえ。
叔父貴は言葉に出さなかったけれど、最後の一言はあたしにはしっかり聞こえた。