。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

――――

――


「雪斗は琢磨の叔父貴と並んで、歴代黄龍の中で最強と謳われた男だった。


兄弟二人が揃うと、無敵だったよ」


今でも覚えている。


雪斗の戦う姿は―――天を駆けめぐる一匹の美しい龍。


叔父貴の戦う姿は―――優雅に尾を振りまいてその戦いを見守る気高い龍。






二つの龍はあの夜―――永遠に決別した。





そして永遠に…………一つになることはない。





仲の良い兄弟だった。


雪斗はいつも叔父貴の背を追いかけて、そして追い越したいと思っていたに違いない。


叔父貴も血を分けた弟を随分と可愛がっていた。





その仲を引き裂いたのはあたし。





ホントはあたしが死ねば良かったのかもしれない………





話をし終えてあたしは戒を改めて真正面から見た。


どう?


あたしの過去を知って、あんたはそれでもあたしを嫁にしたいと思う?


思わないでしょう―――…………?


こんな汚れたあたしなんて





あんたには必要ない―――







< 369 / 558 >

この作品をシェア

pagetop