。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
戒は片膝を立てて、掻き抱くようにしていた。
腕の上に顎を乗せ、何かを考えるようにじっと一点を凝視している。
深く眉間に皺を寄せ、その目は険しく光を帯びていた。
きれいな金色の目だ。
雪斗の目つきに似ているのに、それは全く違う。
雪斗と同じようにあたしを「好きだ」と言ったのに、でも全然嫌じゃなかった。
あたし……嬉しかったんだよ…
ドキドキもした。
だけどこれ以上一緒に居ると、あたしはあんたを傷つける。
だから―――
こんなあたしを
好きになんてならないで。
そう思ったら涙が出てきた。
悲しくなんてない。
辛くなんてない。
だって雪斗が生きていたあのときの地獄を知っているから―――あたしは今こうしてられるんだよ?
でも何でかな……
あたしは叔父貴や戒の優しさに触れて
包まれたから
辛い地獄を一時忘れてたみたい。
繋いだ手がまた離れていくのが、こんなにも辛いことだったなんて―――
知らなかったよ。
ふいにフワリと温かい何かが覆いかぶさった。