。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「朝飯なら俺いらねぇよ」
ネクタイを結び終えた戒が、のんびりと答えた。
「そんなん分かってンよ。そうじゃなくて…」
戒は色素の薄い目をぱっと広げると「ああ」と一人納得して、何故か迫ってきた。
あたしをきっちり閉めた襖に追いやると、腕を襖にやってあたしを覗き込む。
「な、何だよ…」
「何だよ、って朝のチューだろ?」
にやり、と笑って顔を近づけてきた。
ギャ~~~!!!
「違うって!!昨日のこと!どうすればいいか相談しにきたんだよ!!!」
あたしは戒を張り飛ばすようにドンと肩を叩いて、引き剥がした。
「何だよ、違うのかよ」と戒は不服顔。
違うに決まってンだろ!
あたしはお前と違って、悩みがた~くさんあるんだよ!!
―――
「なるほど、一ノ瀬がお前を…ってことは分かってたけど、タクさんが川上をねぇ。
まぁ二人とも小学生じゃあるまいし、なるようになるだろ?」
「なるようになるって、お前…人ごとだと思って!」
「だって人ごとだもん♪」
「この!人でなし」
「何とでも言え。俺は自分のことで精一杯だ」
こんな会話を繰り返しながら、あたしたちはいつの間にか学校に着いていた。
変化は起きている。
戒が隣に居るという何ともない日常に、
あたしはドキドキしている。
二人でああでもない、こうでもないと言い合っていると、
「おはようございます!」
と声が聞こえ、あたしたちは揃って振り向いた。