。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

それでもまたざわつき始めた教室に、


「あーもうっ!」


と叫んで川上が机をバン!と叩いた。


「みんな勘違いし過ぎ!あたしは確かに龍崎くんのこと好きだったけど、朔羅の方がもっと好きだったの!!


たかが男の為に友情が崩れるのが嫌だったんだよ!!」


大声で一気にまくしたて、川上は肩で息をしている。


その言葉にまた場はしんとなった。


川上…


「リコ…」一ノ瀬が宥めるように川上の肩に手を置いている。




「……リコ…」


朔羅が俺の腕の中で川上の方を見上げた。


「ホントのことだよ」


川上はちょっと笑って朔羅の肩を軽く叩いた。






それと同時に一限目の鐘が鳴り、担任が教室に入ってきた。


「鐘なったぞ~…なんだ、みんな集まって」


場違いな担任の呑気な声に、全員がばらばらと散っていく。


煮え切らない何かを抱えて、一限目が始まった。


上の空で授業を聞いて、一限目が終わると、



「龍崎くん、ちょっと良い?」と川上が俺の元に来た。


そう来ると思ってた。


俺は大人しく腰をあげ、ちょっと心配そうに後ろの席の朔羅を見下ろした。


「朔羅なら大丈夫だって。千里がついてるし」




それが一番厄介なんじゃねぇか!


そう思ったけど、一ノ瀬に朔羅を任せて俺は大人しく川上の後についていった。






< 414 / 558 >

この作品をシェア

pagetop