。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
連れて来られたのは使われてない音楽室。
掃除もろくにしてないのか、ほこりとカビの臭いが室内に立ち込めている。
人より嗅覚が敏感な俺は今にもくしゃみが出そうだった。
「こんなところに連れ出して愛の告白?」
俺はちょっとちゃらけて肩を竦めた。
「んなわけないでしょ」
川上は冷たい視線。
「あ、そ。まぁ言いたいことは分かるけど。朔羅をしっかり護れってことだろ?」
「話が早いじゃない。そうよ、あの場でしっかり宣言したんだから、あんたしっかり朔羅を護りなさいよ!」
ビシっと指を差されて俺は軽く両手を上げた。
「言われなくても、そうするつもりだけど?分厚い友情ダネ♪」
俺の言葉に川上はムッと顔をしかめている。
「当たり前だよ!朔羅を泣かしたりしたら許さないんだから」
「分かってるって」
でも
「素の俺を知ったって言うのに随分ずけずけ物を言う女だな。怖かないのか?
ヤクザの彼氏なんてゴメンだって言ってたじゃん」
川上はちょっと考えるように腕を組むと、
「ん~…そりゃヤクザは怖いけど、不思議と龍崎くんと朔羅は大丈夫な気がする。前から知ってるっていうこともあるからかな」
「ふーん。ま、いいや。それより川上サンは随分寛容なんだね。恋より友情を取るぐらいだから。
それとも朔羅の前で、気の多い女を演じるの疲れた?」