。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
俺の言葉で川上がちょっと目を広げて腕を解いた。
「……何で……」
ドンピシャリかよ……
正直半々だった。
男女の待つ恋愛感情とはまた違うだろうけど、川上の目は友情のそれとも違う気がしたから。
俺たちが付き合うことになった、っと朔羅が宣言したとき、こいつは一瞬哀しそうな目をした。
ほんの一瞬。朔羅は気づいていないだろうけど。
それでも俺にはその一瞬を捉えることが出来た。
俺は鼻もいいが、目もいいんだ。
ついでに言うと勘も。
川上は解いた腕をぶらりと垂らして、抑揚を欠いた目で俺を見上げてきた。
「……別に…朔羅を友達以上に見てるわけじゃないよ。ただ……」
川上は俯いて、言葉を濁した。
俺は黙って川上の話に耳を傾けることにした。
「ただ……大切なの」
大丈夫だよ、川上。
俺も朔羅は大切だ。
だからあいつが目を背けたくなるような汚い世界から、視界を覆ってやることができる。
見ないように。
触れないように。
現にCANCER CENTERの封筒はあいつから奪った。
だけど
目を覆っても、汚いものは確実に存在する。
視界を遮っても、現実は通り過ぎない。
CANCER CENTERの封筒が存在するように。
あいつが傷つく姿を見たくないのに
過酷な現実を止める事は、俺にはできない。
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