。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「危ない!」
その声と同時に腕を引かれた。
思いのほか力強いその手。
こっちがびっくりしてしまうほどの機敏な動き。
彼女の顔が間近にあって、ふわりといい香りが香ってきた。
なんだろう…すごくいい香り……
車はあたしたちのスレスレを通って、スピードを上げて去っていった。
間一髪。
危うく轢かれるところだった。
あたしたちを通り過ぎると、窓から若い男が顔を出し、
「危ねぇな!!ぼーっとしてんな!!」と大声をあげて怒鳴った。
ちょっ!!危ないってそっちが悪いんでしょ!
大体ここは一方通行で、無視したあんたが悪いんじゃない!!
それに完全スピード違反だよ!!
って思ったけど、怖くて言い出せない。
すると龍崎さんはあたしの前に立ち、腕を組むと仁王立ちになった。
「てやんでぃ!!そっちが悪いんじゃねぇか!!気をつけやがれっ!!!!」
え―――……?空耳??
だってあの儚げな美少女の…龍崎さんが……
窓から顔を出した若い男はびっくりして目を丸めていたものの、小さく舌打ちすると派手なエンジン音を撒き散らしながら、今度こそ去っていった。
あたしは―――
龍崎さんの言葉に
ただただびっくりして、目を開けることしかできなかった。