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明日が追試だということもあって勉強会は深夜まで及んだ。
さすがに夜中の3時になると三人ともぐったり…
4時になると、戒とキョウスケは畳の上で雑魚寝をしはじめた。
「なくようぐいす平安京」
あたし独りがぶつぶつ言いながら教科書をめくっていると、すぐ近くにあった英和辞典に手がぶつかった。
あいにくだが、英語の勉強は終わったんだよ。
おめぇの出番はない。
そう思って片付けようとして、あたしはふと手を止めた。
英和辞典をぺらぺらめくる。
Cの単語のところであたしは手を止めた。
キャンサーと言うからには次にくるスペルはA?次はNか……
そんなことを思い、一ページ、また一ページと薄いページをめくっていく。
その手に、誰かの手がそっと重なった。
な……何?
顔を上げると、いつの間にかすぐ近くにキョウスケの整った顔があってあたしは思わず声をのみこんだ。
「そこは、追試に関係のないところですよ?」
ぞくりとするぐらい低い声。
感情のない顔に、目だけは不穏な光を宿していた。