。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
戒の家族には度肝を抜かれたが、その後は和やかなムードで戒の小さい頃の話とかを聞けた。
戒は小さいころからやんちゃで、いたずら好き。甘えっこの末っ子。
小さい頃から薙刀を習っていて、全日本なぎなた選手権で優勝したこともある程の腕前らしい。
薙刀って言うと女子がやるイメージだったかもしれないけれど、男がやったらそれはそれで迫力がありそうだ。
しかも戒がやったらすごくかっこよくて似合いそう。見てみたいかも。
兄ちゃんたちもそれぞれ、剣道、空手などを極めているらしい。
さすが虎間三兄弟。
そんな戒を白虎の会長は随分可愛がっていた、ということだ。それは今も変わらないらしく、戒を養子に出すことを随分渋っていたらしい。
戒…家族に愛されてるんだな。
そう思うと、自然に頬が緩む。
微笑ましい面持ちでちらりと戒を見たけど、戒は眉間に皺を寄せ、目の前の叔父貴をじっと睨んでいた。
どこか腑に落ちないような、それでいて何かを探るような、複雑な表情だった。
叔父貴は姐さんの話を笑って聞いていたけど、戒の視線に気づいてか時折目を細めて戒を見据え返している。
こっちも探るような視線。
二人の間に見えない火花が散っていそうだった。
険悪にはならないものの、その視線の絡まりはどこか気持ち悪いものを感じる。
姐さんの思い出話を一通り聞き終わると、戒がおもむろに腰を上げた。
出されたコーヒーには一口も口を付けず、コーヒーと同じ冷めた視線であたしを見下ろす。
「話は終わったようやし、行こか」
「え…うん」
有無を言わさない強い口調に、あたしは素直に答えるしかなかった。
戒……何を…考えてるの?