。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
三味線!?
う゛~~~ん…
戒はあれきり部屋にこもっていた。
考え事したいから、とか何とか言って。その表情にはあきらかに不機嫌そうな色が浮かんでいた。
隣でじゃがいもの皮を剥いていたタクが不思議そうにあたしを見る。
「お嬢、どうされたんですかい?さっきから変な声出して」
「いや、別に…」
きれいに皮が剥かれたじゃがいもを受け取って、あたしはそれをまな板の上に並べた。
今日は肉じゃがにする予定。
「ねぇお嬢…」
タクがもじもじと切り出した。
「何でぃ」
トントンとじゃがいもを切る音に混じって、あたしも不機嫌そうに答える。
「リコさんが好きなタイプってどんなですかね?」
トン…じゃがいもを切る手が止まった。
「何でぃ、おめぇ最近大人しくなったからてっきり諦めたと思ってたのに」
「そう簡単に諦められるわけないじゃないですぜ。教えてくださいよ。リコさんの好きなタイプ」
あたしは若干うんざり顔でタクを睨んだ。
「知らねぇよ。とりあえずヤクザはいやだって言ってたな」
「ガーン!!!(←死語?)そんなっ…」
「リコのこと手に入れたいんなら、とりあえず足洗え」
「そんなこと無理っすよぉ」
情けなくタクが肩を落とす。
「てめぇ!好きな女のために極道抜ける覚悟がねぇんだったら、惚れたとかぬかすんじゃねぇ!!」
ザクザクっ!あたしはじゃがいもを乱暴に切った。
「お嬢…」
タクがつんつんつついて、まな板を差した。
「何だよ」
「じゃがいも…そんな細かくしてどーするんです?」
まな板の上のじゃがいもを見てあたしはびっくり。
はぁ…今日はジャーマンポテトになりそうだ。