。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

―――

「これうまっ♪グラタン??」


肉じゃがから、ポテトとベーコンのグラタンに化けたおかずを口に頬張りながら戒がご機嫌にあたしを見た。


さっきまでの不機嫌はどこへやら。


いつも通りの旺盛な食欲を見てあたしはほっと安堵した。


ほんとに…何だったんだろう?


あの勘ぐるような視線と表情。


でも今はそれが欠片も見えない。


あたしの考えすぎか??


その後も組員たちと談笑し合いながら食事を済ませ、後片付けを手伝ってくれると、戒は風呂に入っていった。


いつも通りの戒だ。


あたしもそれ以上深くは考えず、いつも通り風呂に入りちょっとテレビを見るとあっという間に夜も12時過ぎだった。


布団に入り、肉体的と言うよりも精神的に疲れていたあたしは早々にうとうととしだした。


どれぐらいたったろう…


きれいな……弦を弾く音がメロディーをなしてあたしの耳元まで届いた。


覚えのある音。


軽快なリズムを刻んだメロディーは、力強いのに荒っぽくない不思議な音が夜の静寂に乗って、かすかに聞こえてくる。





三味線?






あたしは体を起こし、布団から抜け出した。






< 466 / 558 >

この作品をシェア

pagetop