。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「叔父貴が何か企んでる!?」
戒の意見を聞いて、あたしは目をむいた。
「何で…」
戒はちょっとため息を吐くと、あたしを見下ろした。
その視線はびっくりするぐらい真剣な目だった。琥珀色の淡い色の中に、小さく底光りする何かが浮かんでいる。
「琢磨さんさ、俺の正体がお前にバレそうになったとき…すっげーキレたんだ。まさに雷」
「で…でも、今日は普通だったよ?」
「だからだよ。俺はお前に正体バレたってこと言ってねぇのに、あいつの態度はいつも通りだった。お前に対する俺の態度見てりゃそんなん一発で見抜く筈なのに…
あいつは何も言ってこなかった」
た、確かに……今までのメガネの雰囲気じゃなく、素だったもんな。
気づかない筈ないよなぁ。
「それにおかんの登場だ。なんでおかんが東京に来たんだ?」
「それは呉服屋の紹介して貰ったって…」
「そんなん嘘に決まってる。懇意にしてる呉服屋が京都にあるから、おかんはいつもそこで着物買ってるからな」
あたしはごくりと生唾を飲み込んだ。
何でそんな嘘までついて、姐さんは東京に来たの…?
「恐らく、おかんと琢磨さんの仲は昨日今日の仲じゃない。鴇田も一緒だ。あいつら三人グルだ」
ぐ、グル………あまり良い響きじゃないな。
「何か裏がある」
戒はまるで射るように目を細めると、遠くの方を睨んだ。
凍りつくような視線に、あたしはただ、ただ黙ってこいつの次の言葉を待つしかなかった。