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急性胃炎!!……って何?
「胃の内部の粘膜や腺が炎症を起こす胃の病気です。手遅れになると胃粘膜が爛れて胃潰瘍になるんです」
タクシーの後部座席であたしたち三人は納まっていた。
ぐったりとした戒の頭を肩に乗せ、キョウスケが冷静に説明してくれた。
「胃潰瘍!?それって大病じゃん!!戒、大丈夫なの!!!」
「胃潰瘍の手前です。原因が分かれば、あとは薬だけの治療で治ります」
「そ、そーなの…」
戒……昨日から様子が変だった。
もしかして、昨日からずっと痛かったの??
ずっと我慢してたの?あたしにはそんな素振り少しも見せなかったよね…
違う。
あたしが戒の異変に気付いてあげられなかったんだ…
こんなの彼女失格だよ。
そんなことを思いながら俯いていると、キョウスケの温かい手があたしの手に重なった。
「とりあえず、病院に急ぎましょう。まだ初期の段階です。大丈夫」
そう言ってぎこちなく笑ったキョウスケの顔も、やっぱりどことなく不安そうだった。
ここに居る誰よりも冷静だったキョウスケだってホントは心配なんだ。
あたしが不安にならないよう、わざとなんでもない風に言ってくれたんだね。
キョウスケも…戒のことすごく好きなんだな。