。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
悩み事!?
「何あのおっさん!ホントに医者なのか!?」
と点滴を刺され、病室のベッドに横たわっている戒は、今にも飛び起きそうな気迫だった。
「ちゃんと寝てろよ。大人しくしてたら二、三日で退院できるって」
「入院!ありえねぇ」
「まぁまぁ、戒さん。ここは大人しく寝ていてください」とキョウスケが宥めるも、戒はぎろりと一睨み。
あたしなんかビビッちまう程の迫力だけど、キョウスケは慣れてるのか、ぴくりとも表情を動かさない。
「あいつはああ見えて、結構な腕前なんだって。組のもんが言ってたよ」
「洗脳されてるんじゃねぇの?何か変なオーラ出てたぜ」
変なオーラ…。まぁそう言われてみれば……
「でも……あたし知らなかった。あんた何か悩みごとでもあったの?それも最近じゃないよね。ずっと…前から…?」
知らなかった。気づいてあげられなかった。
こいつはいっつも元気過ぎるぐらい元気だったから。
胃を壊すほど悩んでたなんて……
「悩み…?そうだなぁ。敢えて言うのならば、俺様がかっこよすぎてもてすぎるってことかな?」
ケラケラと戒は笑った。
こいつぁ
さっきまで死にそうに腹押さえてたのに!
「戒さん…いい加減素直になったらどうです?お嬢は戒さんのこと心配されてるんですよ」
キョウスケが珍しく咎めるように、口調を強めた。
キョウスケはちょっと怒っていた。
いつも優しいキョウスケが怒ると、結構な迫力だ。筋もんの怖さじゃなく、底が知れない恐怖のようなものを感じた。
「………」
戒は面白くなさそうに口を尖らせると、ちらりとあたしを見る。
「…べ、別に言いたくなきゃ言わなくていいケド…」あたしも唇を尖らせた。
だ~~~!!もぅっ!あたしも可愛くないっ!!!!
だけど戒はちょっと柔らかく微笑むと、
「響輔、悪いけど席外してくれ」
と病室の出入り口の方を顎でしゃくった。