。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。




―――戒………




戒はふいと視線を外した。切なそうに眉を寄せている。


「ははっ…かっこわりぃ。好きな女を目の前に弱音さらしちまった…」


ひどくバツが悪そうだ。


かっこわりぃ…戒は再びそう呟いて、ごろりと向こう側に寝返りを打つ。


向こう側を向いた戒にあたしはそっと近づくと、戒の腕にそっと触れた。


戒がびっくりしたように肩を一瞬震わせ、そしてゆっくりとこっちに振り向いた。


あたしは戒を覗き込み、微笑んで見せた。


大丈夫だよ。そんな気持ちを込めて…


「かっこわるくなんてない。むしろあたしはそっちの方が人間らしくていいと思う。怖いことなんて恥じることない。誰にだってある感情だ。


あたしだってたくさんある」


叔父貴の怒った顔、雪斗との過去……それからテスト…


そう言うと戒は笑った。


「テストって何だよ」


「だって怖いもん」


ははは、と明るく笑う戒のおでこにあたしはキスをした。


いつかの夜、戒がそうしてくれたように。





「安心して。あたしがあんたを守る。あたしはあんたを守ってあげたい―――」






そんな気持ちを込めて。








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