。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
メガネはあたしを上から見下ろすと、何かを考えるように唇をきゅっと結んだ。
う゛。何だよっ。
だがふいに柔らかく表情が緩む。何だか全てこっちの考えを見透かされてる感じ。
「朔羅さんも女の子だね」
「は!!?あ、あたしは別にお前の腕なんかに興味ねぇよ」
あたしは慌てて前を向いた。
「は?腕?」
「へ!?」
「僕はお料理が上手なことを褒めたんだけど」
―――!!!
「…腕?」
メガネがきょとんとして、自分の腕に視線を落とす。
「だ~~~!!いいって!何でもねぇっ」
「?そう」メガネは不思議そうに小首を傾げると、皿を洗う手元に視線を戻した。
なんっか、ホントに調子狂う!
「お弁当もホントに美味しかった。ありがとうね」
「い、いや。別に、ついでだし」
面と向かって言われると照れる。
あたしは照れ隠しに、ぷいと顔を逸らした。
メガネはあたしの隣でクスクス笑ってる。
「朔羅さんってさ、ここの人たちに本当慕われてるよね」
笑顔の向こう側に、ほんの少し哀しみに似た何か複雑な感情を感じた。
本当に少しだけど。