。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「こっちへ…この先に階段があります。それを下れば業者用の出入り口に出られる」
ドクター鴇田は、非常口から更に奥まった一つの扉を手で差した。
薄暗くて埃っぽい、本当の意味でも非常口だ。
暗い室内の中、戒とキョウスケは互いに顔を見合わせ、逡巡しているようだった。
こいつがまだ味方と決まったわけじゃないからかな。
だ~~~!もぉっ!!悩んでる暇ねぇっつの!!
あたしは戒とキョウスケの首根っこを掴んだ。
「ぐずぐずするな!こいつがわざわざ教えてくれたんだ。行くぜっ!」
ドクター鴇田はびっくりして目を丸めたのち、ほんのちょっと微笑を浮かべるとメガネを直した。
「相変わらず面白いお嬢さんだ。君の中をレントゲンで覗いてみたいですね」
またもずいっと顔を寄せ、あたしに迫ってくるドクター。
「変態医者!触ンな!!」戒がべりっとあたしからドクター鴇田を引き剥がす。
「よし、分かった。信じようじぇねぇか!」
戒の一言でキョウスケも腰を上げた。
行くしかない―――!!!
そんな決意をしたときだった。
トンっ!
と小さな……ホントに小さな音だったから聞き逃しそうだったけど、聞き逃したら最後。あたしの首か飛んでいたかもしれない。
あたしの首筋に鈍く光る刃先が当てられた。
ギラリと光るその刃は見間違えようがない……
長さ80cmほどもある日本刀だった。
雨龍―――……
「どこへ行くおつもりですか?お嬢」
その低い独特の声は、聞き覚えのある声だった。