。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
ふたつの気持ち
姐さん!?
結局、あたしたちは何故か叔父貴の会社まで連れて行かれた。
戒はしっかりドクター鴇田が用意した点滴を差している。ただの胃炎だから、無理をしなければ点滴を二日も差していれば大丈夫だ、と言うことだ。
「まったく…お前たちは…」
ガミガミくどくど…
あたしたち三人をソファに並べて、叔父貴はさっきから説教。
「でも!確かに何者かに狙われたんだよ!!」
ドクター鴇田がメスで教えてくれなかったら、あたしたちはもしかしてっ!!
と思って、はっとなった。そう言えばドクター鴇田は敵がいることを知っていた。なのに何で叔父貴たちに言わなかったの?
「夢でも見たんじゃないですか?」としれっと蛇田。
「バカ野郎。あんなリアルな夢あるか!?しかも三人揃って同じ夢見るかよ!!」
あたしは両隣の戒をキョウスケを見た。だが二人とも、黙ってそっぽを向いている。
な、何とか言えや!!この野郎どもっ!
そうこうしているうちに虎間の姐さんが登場。
「戒!あんた入院って大丈夫なん!!?」
えっらい勢いで扉をぶち開けると、姐さんは血相を変えて戒のもとに走り寄ってきた。
今日は淡い藤色の着物をやはり粋に着こなしている。
「あぁ…こないな顔色して……」
心配そうに眉を寄せると、姐さんは戒の頬や額をぺたぺたと無遠慮に触った。
「ただの胃炎や。心配することない」
戒が鬱陶しそうに体をのけぞらしている。
「姐さんからも一言言ってくださいよ。彼、病院を抜け出そうとしたんですよ」
と蛇田が顔を歪めて、腕を組んだ。