。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
バチバチ…と空中で火花を散らしながら、その背後には怒り猛った龍と、虎が牙を剥いて威嚇し合う姿が見えた。
もちろん幻覚だろうけど…
で…でも!すっげぇ迫力!!すっげぇ怖い。
最初に自分のペースを取り戻したのは、叔父貴の方だった。
「さすがは白虎の姐さんだけあるな」
叔父貴はいつものクールな態度を取り戻して、すっと立ち上がった。
「なんや?やろうってのかえ?」
お、叔父貴…そりゃいくら姐さんが強くても、女相手に暴力はダメだよ!
はらはらした面持ちでその様子を見守っていると、叔父貴はふっと冷笑を浮かべた。
「俺は女相手に拳を振るうような下賤なことはしない。ただ…あなたが青龍を小馬鹿にしたのはやはり気に入らない」
「じゃぁどないするん?」
姐さんが挑発的にふふんと笑った。
「とりあえず、ここは俺の会社です。お引取り願いましょう」
叔父貴は爽やか過ぎる程にっこり笑って、扉を手で指し示した。
こ…怖い……
叔父貴が怒った顔は怖いけど……何考えてるか分からない爽やか過ぎるほどの笑顔はもっと怖い!!
姐さんは、ふんと鼻息を吐いた。
「あんたの言う通り、ここは引き取らせて貰います。戒、響輔!」
姐さんはあたしたちが座っているソファに向かって、キッと睨みを寄越した。
戒はけだるそうにゆっくり顔をもたげたけど、キョウスケは反射的にぴしっと背中を正した。
「ほな、行きまひょ」
キョウスケが大人しく立ち上がる。だけど戒は深く背中を預けたままだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!二人をどこへ連れてくつもりですか!?」
あたしも慌てて立ち上がった。
「朔羅。お前が気にすることない。お前はここに残れ」
叔父貴の低い声が聞こえ、あたしは目をぱちぱちさせた。