。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


な―――なにそれ………


プッチーン!


あたしの中で何かが切れた。


「―――っつ!」あたしは奥歯を噛み締めた。


そんなんであたしの怒りが治まると思ってるわけ!?


あたしは無言で叔父貴に背を向けると、玄関口へと歩きだした。


こんなんじゃ埒があかない。叔父貴は自分の考えてることを、あくまで隠し通すつもりだ。


「朔羅。どこへ行く?」


叔父貴の冷静な声が後ろから追いかけてくる。さっきまで戒のことで散々怒鳴り散らしてたくせに…


あたしは首だけを振り向かせた。






「大人って勝手だな。あたしの意思を無視して戒との結婚を決めちまったくせに、そのくせ都合が悪くなると、平気で引き離す。


腹ン中に何抱えてるか、底が知れねぇよ。


せめて理由を教えてくれたっていいのに、あたしが熱くなっても、叔父貴は同じ温度で向かい合ってくれない。


最初から同じ土俵で戦わない。それが大人の正しい喧嘩なら、あたしはそんな大人になりたくない!」


それならあたしは、いつだってまっすぐにぶつかってきた戒のところに戻る!


吐き捨てるように言うと、玄関口で靴を履いた。


「帰る」


自分でもびっくりするぐらい冷たくて、怒気が籠った声が口から出た。


「待て。お前はここに居ろと言った筈だ」


「命令なら聞かない。あたしは叔父貴の舎弟でも、何でもない!」


乱暴に言い置いてあたしは扉に手を掛けると、同じタイミングで扉が向こう側に開いた。


びっくりしてドアノブに置いた手ごと体が引っ張られる。


つまりは、それぐらい勢いのある開き方だったってことだ。


あたしは扉を開いた人物の腕の中に、すっぽりと抱かれるように引き寄せられた。


思わず、その高い背を睨み上げ、


「鴇田……」と呟いた。


鴇田はあたしが逃げられないようがっちりと、肩を抱くと、にっこりと叔父貴に笑いかけた。










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