。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


どうしてこうなっちゃったんだろ……


知られちゃならないことって何―――……






大きな革張りのソファに体育座りをして、あたしは膝に顔を埋めていた。


「ほら、朔羅。お前の好きなピザだぞ。食わないと冷めるぞ」


と叔父貴が言葉を掛けてくる。


声に幾分元来の優しさが戻ってきつつあった。


それでも、あたしは顔を埋めたまま、返事を返さなかった。


餌付けしようったってそうは問屋が卸さねぇ!


「食わないと体に悪いですよ」と何故か鴇田も居る。


うっせぇ。てめぇで食いやがれ!!


って言わなくても、「……あ、うまい」なんて感想を述べている。


意外だな…鴇田はマイペースらしい。ついでに言うと叔父貴も。


「だろ?つい一ヶ月ぐらい前に開店したばかりのイタリアンから取り寄せたんだ」


「ああ、六本木の。いい味ですね」


「お前も女と会うとき利用するといい」


「まぁそんな女いませんけど……出来たら行きますよ」


蛇田……独身だったの??


何となぁく所帯じみた落ち着きみたいなもんがあるから、てっきり妻帯者だと思ってたけど。


まぁ考えたら陰険蛇田に女なんていねぇか。居たとしたらどんな物好きだよ。


…まぁ黙ってればそれなりにかっこいいとは思うケド…


って!んなことどーでもいい!!




ってか、人が分かりやす~く落ち込んでるってのに、イタリアンの店で盛り上がってんんじゃねぇよ!!そこっ!!


青筋を浮かべて、顔を上げるとにっこり笑った二人の顔があたしを見ていた。




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