。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「やっと顔上げた」
叔父貴はやんわりと笑うと、あたしを覗き込んでくる。
ふいうちに笑顔を向けられて、思わず同じように笑い返そうとしちまった。
いかん、いかん。
あたしは今、いかってんだからなっ!!
ふい、と顔を逸らすと、叔父貴は困り果てたように肩をちょっとすくめた。
ふん。困ってればいいんだ!あたしの気持ちも知らずに、勝手に話をすすめてさっ!許さないんだからっ!!
ピザを食い終わると、叔父貴は風呂に入っていった。
あたしは叔父貴の広い寝室に居る。
リビングには鴇田が。あいつは、まるであたしが逃げないよう監視してるみたい。
いや、実際そーだろうけどね…
はぁ
ため息を吐いて、大きなベッドに腰掛けると、目の前の桜のジオラマをぼんやりと眺める。
きれい……
前見たときはそう思ったのに、今はちっとも感動しない。
変なの。
所詮は造りもの、っていう妙に冷めた感情があたしの中を支配していた。
ふいに戒と初めて会ったときのことを思い出した。
桜の木の下で、あたしたちは出逢ったんだ―――
戒―――…大丈夫かなぁ……
そんなことを思いながらぼんやりと桜を眺めていると、スカートの中で極妻のメロディが鳴った。
のろのろとケータイを取り出し、開いてみると、
“着信♪:リコ”になっていた。
リコ―――!!
慌ててケータイの通話ボタンを押し、耳に押し当てる。
『朔羅!?良かった~、やっと繋がった!!』
リコのちょっと切羽詰まった感じだけど、それでも聞き慣れた甘い声を聞いてあたしは涙が出そうになった。